コラム alt

2022.05.15

地域を語る

80号:まちラボプロジェクトレポート

向丘・白山における「日常の小さなサードプレイス」プロジェクト

文京学院大学人間学部コミュニケーション社会学科 岩舘豊さん

 文京学院大学人間学部コミュニケーション社会学科4年次に開講される「まちラボプロジェクト実習」について、筆者のゼミ生11名が行ったプロジェクトを紹介したいと思います。このプロジェクトの目的は二つありました。一つは、文京区向丘・白山地域が抱える課題解決に向けて、「サードプレイス」という視点やアプローチの有効性を確かめること。もう一つは、向丘にあるカフェRural coffee(運営:株式会社Rural frontier)と連携したスモールイベントを通じて、地域のリソースを再発見することでした。
 学生たちは2021年4月からミーティングや打ち合わせを重ね、秋にイベントを行うべく準備を進めていきました。 夏からの感染症再拡大に直面し、計画は大きく修正せざるを得ませんでしたが、感染症対策を尽くし、8月には「向丘・白山こどもまつり」に参加し、秋にかけて「地域の〝宝〞地図づくり」「古着リメイクカフェ」「ビジネスボードカフェ」の3つのワークショップを実施しました。
 3つの企画はともに試験的な内容であり、まだまだ途上であることは否めません。しかし、学生がまちを自分たちで歩いて「宝」を探すこと、使われなくなった古着を手作業で再生させること、ボードゲームというモノを介したゆるやかな会話を持つこと、それらを通じて見えてきたのは「日常の小さなサードプレイス」がもつ豊かな可能性でした。掘るべき「鉱脈」を明らかにしたことが本プロジェクトの大事な成果でした。コロナ禍を通じ、日常生活圏が再編されていくなか、自由でゆるやかなつながりを可能にしていく、小さいけれども確かな空間をいかに内蔵していくことができるか。地域社会の課題の一つはこうしたことにあるように感じています。学生たちが試行錯誤しながら蒔いたこの小さな種子を、少しずつ大切に育てていきたいと思っています。

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