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2021.01.17

株式会社文化通信社 代表取締役社長 山口健さん

72号:皆さんご存知でしたか? こんな会社発見 !!

湯島・本郷にもユニークな企業がたくさんあることをご存知ですか?今日は湯島2丁目にある文化通信社・山口健社長にお話をうかがいました。

地方の地域新聞を読める「ふるさと新聞ライブラリー」を通じて故郷の応援団を発掘するお手伝いをしたいと思っています

会社について教えてください

 主に新聞・出版業界の動向を発信する「文化通信」を発行している会社で、来年75周年を迎えます。ほかにも「BBB」という本屋さん向けの情報紙や、新聞・出版経営者の経歴から趣味まで網羅した紳士録「新聞人・出版人」の発行や、セミナーを開催しております。こうした業界専門紙は、一般の方にはなじみがないかもしれません。ですが、ここには全国的にも珍しい「ふるさと新聞ライブラリー」があるんですよ。

どんな施設ですか?

 2020年6月にオープンしたのですが、北海道の『日刊宗谷』から、沖縄県の『八重山毎日新聞』『八重山日報』まで、全国の地域紙や専門紙が100紙以上揃っています。こんなにたくさんの新聞を、誰もが手に取れて、 自由に読むことができる場所は、ほかにはないと思います。小さな会社の限られたスペースですが、是非覗いていただきたいです。
 東京にはたくさんの人が住んでいますが、先祖代々東京住まいという方は少なくて、出身は別の地域という方が多いでしょう。そういう方にとって、故郷とつながるきっかけになれば嬉しいです。全国紙と違い、地域新聞は街に住む子供の活躍が写真入りの記事になっていたり、味わい深い情報がたくさん載っています。
 地方出身の方は、故郷のために何かをしたいと潜在的に思っているものです。ここに来れば、故郷にゆかりのある新聞を読むことができる。この場所を通じて、地元の応援団になる方を発掘するお手伝いができるといいな、と考えています。
 こういった地域新聞は、地元を愛する名士が、使命感で発行しているケースが多いと聞きます。お金儲けのためではなくて、地域愛があるから発行し続けている。だから応援したくなるんです。

さまざまな革新的な取り組みをなさっているそうですね

 私がいつも考えているのは「社会における存在意義」ということ。経営者として会社の100周年を見据え、 これからも長く続いていく仕組みづくりを考えています。大切にしているのは「どういった形で業界のお役に立てるか」というスタンスですね。
 業界にとって当たり前の慣習もたくさんありますが、そこに風穴をあけたくて、文化通信の紙面もリニューアルしました。活字業界も変わっていかなくては時代に取り残されると思います。旧態依然とした体質に変革をもたらすヒントにしていただきたくて、 ダイバーシティに取り組む経営者など、業界以外の方の施策を紹介するインタビューを掲載しています。ちなみに一月は渋沢栄一さんの玄孫・渋沢健さんがゲストです。

ほかにはどんな取り組みを?

 昨年の秋冬に手掛けた新しい試みのひとつに「ギフトブック・キャンペーン」があります。『本を贈る習慣を日本でも定着させたい、ネット書店ではなく書店に足を運んでほしい』という思いから、全国約1500の書店で展開しました。読者にも、本屋さんにも、出版社にも、みんなにとって良いきっかけづくりをしたい、という思いです。
 そのほかの企画に「文豪珈琲」があります。最近、雑貨を販売する本屋さんが増えましたが、雑貨であれば何でもいいわけじゃない。主役である本を引き立てるアイテムを提案したい。だから、『読書をしながらコーヒーを飲む』…そんなシーンを描き、京都の小川珈琲さんとタイアップして文豪をイメージしたおいしいコーヒーを開発しました。書店で見かけたらぜひ手にとってください。もちろんこちらでも、お求めいただけますよ。
 新しい取り組みが定着するには時間がかかるものです。ですが守らなければならない基本を忘れず、本質とは何かを考え続けることで、未来につながる一石を投じることができると、 私は考えています。

ふるさと新聞ライブラリー
火・木・土・日および祝日、夏季/年末年始休業日
113-0034 東京都文京区湯島2-4-3ソフィアお茶の水3階 株式会社文化通信社

開室時間:午前10:00~12:30/午後14:00~16:30(入替制)
運営協力金:午前・午後それぞれ1 人300 円(税込)
https://www.bunkanews.jp/library/

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