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2026.03.14

「布施」

103号:紗都ちゃんの寺小屋ばなし

講安寺住職、両門町会町会長 池田紗都さん

 お寺で法事をする時、お布施はいくら包めばいいのか、悩まれたことがあるかもしれません。現代ではお布施を金銭と捉えお包み下さる方が多いのですが、実は布施とはもともとは金銭のみではなく様々なものがございました。
 布施の「施」とは「ほどこし」の事です。読経の御礼としてお寺へ納めるのも布施の一つですが、施しとは物でも金銭でも、今それを必要とする人々の為に心を込めて捧げることであります。昔はお坊さんが着る衣や袈裟、お寺の仏具やお米などもお布施として納めて下さる方も多くいたようです。
 仏教では布施を施すことを最も大切な仏道修行としています。仏道を歩む者として六波羅蜜という実践実行すべき行があります。布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の6つですが、その第一にあげられている「布施」こそが最も大切とされています。さらに布施には財施、法施、無畏施(むいせ)の三種類があります。財施とは、貪る心とか、欲しいと思う心、恩に着せる心を離れて、お金や衣食などの物資を必要とする人に与えることをいいます。法施とは、物質財物を与えるのではなく、教えを説いてきかせるといった、相手の心に安らぎを与え精神面で尽くすことをいい、僧侶が行うべき最も大切なことです。無畏施とは、恐怖や不安などを取り除いて安心させることをいいます。法事をする際に包むお布施は財施にあたり、僧侶が読経や法話をする法施に対して御礼としてする最善の布施行なのです。
 しかし世の中には施すべき財も無く、教える智慧も無し、不安を取り除くことなど到底できないという人も多く、お釈迦様はそのような場合にもできる施しも説いておられます。次号でお伝えします。「布施」は料金ではないこと、金銭だけではないこと、お寺や仏さまに対しての最善の仏道修行であることを知っていただければ幸いです。

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