2026.01.17
102号:会いたい!湯島本郷まちの人
12年後の文京区は「犯罪の狩り場」になるのか、成熟社会を生き抜く「文京合衆国」
2025年10月15日、東京ガーデンパレスにて『湯島本郷マーチング通信創刊100号記念セミナー』が開催されました。 雨天にもかかわらず、多くの地域の皆さまにご参加いただき、心より御礼申し上げます。 基調講演には、株式会社ロードフロンティア代表取締役・並木将央さんをお迎えし、「成熟社会の地域イノベーション」をテーマにご講演いただきました。 人口減少社会において、地域が持続的に成長していくために必要な視点を、文京区の特性に重ねてお話しくださいました。
並木先生の講演は「治安が悪い街とは、どんな状態でしょうか」という問いから始まりました。 人口増加期の犯罪は、目に見える形で発生していました。 しかし人口減少社会では、様相が一変します。 隣に誰が住んでいるのかわからない。夜、人通りがほとんどない。 こうした環境では、犯罪は派手に起きるのではなく、気づかれないまま存在するようになります。 統計には表れにくいものの、生活の安心感を確実に奪っていく「静かな治安悪化」が進むと、指摘されました。 その対策として必要なのは監視ではなく、顔の見える関係性――「共助」の再構築であると語られました。
現在、文京区の人口は比較的安定しています。 しかしその状態が続くのは2038年まで、残された猶予はあと12年です。それ以降は人口減少します。 区内では単身世帯が6割を超え、家族世帯は減少しています。 今は教育の町といわれていますが、教育のためだけに住むではなく、教育が終わっても住み続けてもらわないといけないのです。
「0歳から20年かけて人を育てる時間は、もうありません。ファミリー層、そして留学生や外国人材が“住み続けたい街”を、今すぐつくる必要があります。そのためには、ビジネスを生み・育て・しっかり支えていかないといけない」と語られました。
文京区を7つのエリアに分かれた「合衆国」として捉える考え方です。 文京区は、山と川、高低差のある地形によって自然にエリアが分かれています。 本郷・湯島、根津・千駄木、小石川、白山・目白台など、それぞれ歴史も街並みも、暮らす人の層も異なります。
「エリアごとに軸をつくれば、多くの人に“良い”と思われる可能性は大きく広がります。7つに分かれるということは、7倍のチャンスがあるということ。これは文京区の大きな財産です」 一つの観光資源で勝負する街とは違い、それぞれの特徴を磨くことで、人を呼び込み、街として勝ち続けられる、という力強いメッセージを語られました。
今後、人口減少と税収減少が進む中、行政だけで街を支え続けることは難しくなっています。 そこで鍵となるのが、「ローカルゼブラ企業」です。 社会貢献(白)と利益(黒)の両立。 地域課題を解決しながら、事業として成立し、生み出した利益を地域に還元する企業のことを指します。 善意や補助金に頼らず、自走できる仕組みこそが、街の持続可能性を高めます。 文京区が持つ医療・教育・文化といった強みを、高齢者の見守り、子どもの居場所づくり、留学生支援などの課題と結びつけ、各エリアに企業や団体の「ハブ」をつくる。 それらが結び目となり、人と人をつなぐことで、治安とコミュニティーの力も同時に高まっていく――並木氏は、そんな未来像を描き語ってくれました。
続く座談会では、地域で活動する方々と共に、「これからの文京区をどう創っていくか」という視点から活発な意見交換が行われました。
「ブランドに胡坐をかいていられる時間は、もう残されていません」この言葉が、この講演全体を貫いていました。 12年後の文京区をどうするのか。その答えは、今、どんな選択をするかにかかっています。 創刊100号という節目に、私たち『湯島本郷マーチング通信』も、地域の皆さまと共に、文京の未来を考える良い機会となりました。 これからも、地域の皆さんとともに、「文京区の魅力を発信し、未来を創る活動」を続けながら取材をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

それぞれのパネリストが活発な意見を交わす

100名以上の来場者