2026.05.16
104号:会いたい!湯島本郷まちの人
茗荷谷にある、東京で一番歴史のある女子教育の学校に由来する、跡見学園女子大学。新学長にインタビュー。
跡見学園は、昨年で学園創立150周年、大学創立60周年を迎え、漫画「はいからさんが通る」の主人公が通う女学校のモデルにもなった伝統校として知られて参りました。
本学の特徴は一言で言うと「人を育てること」をとても大切にしている事です。知識を詰め込むだけではなく、人と人との関わりの中でどう成長していくか、どう生きていくか、そういった部分を重視しているのが特徴です。
本学は、とても穏やかで優しい学生が多いのです。人の気持ちをしっかり考えられる、思いやりのある学生が多いというのは、大学としての大きな強みだと感じています。ただその一方で、自分に自信が持てない学生も少なくありません。ですから私たちは、4年間の中で「根拠のある自信」を育てることをとても大事にしています。
そのために、少人数教育やアドバイザー制度を取り入れて、一人ひとりと丁寧に向き合っています。また、1・2年次にはリベラルアーツを幅広く学びます。これはとても重要で、自分の専門に進む前に、さまざまな視点や考え方に触れることで、自分の軸をつくっていくのです。その上で専門分野を深め、ゼミの仲間との関係の中で学びを深めていきます。
やはり「全人教育」です。知識だけではなく、人としてどうあるかを育てることです。
最近はAIの発展などもあって、「学ぶこと」の意味自体が変わってきています。知識はある意味で簡単に手に入る時代になりました。だからこそ、それをどう使うのか、人としてどう判断するのか、そこがより重要になってきていると感じています。
そういう時代だからこそ、人と人との関係性の中で育まれる力、例えば共感する力や対話する力、美的な感性といったものは、とても大切です。これはAIにはなかなか代替できない部分だと思います。
学祖、跡見花蹊の全人教育は、まさにそうした人間性を育てるものでした。その理念を現代にどう活かすか、学生や教員と議論しながら、新しい理念を形づくっていきたいと考えています。
女子大学は今、厳しい状況にあると言われていますが、私はその存在意義はまだまだあると思っています。
確かに、社会に出て働く女性は増えました。しかし、キャリアを積んでいく過程では、困難や課題があるのも事実です。そうした現実に気付き、不利な環境を自分なりに変えられる女性、人生の道を主体的に選び行動できる女性を育てることが、女子大学の使命だと考えています。
そして、最終的には「女子大学が必要なくなる社会」になってほしいとも思っています。性別に関係なく、誰もが対等に活躍できる社会です。その実現に向けて、教育の側からできることを積み重ねていきたいと思っています。
現在は教育課程の見直しを進めています。これまでの伝統を大切にしながらも、グローバル化への対応を強化する必要があると感じています。
国際的な視点を持つことは、これからの社会では欠かせません。ただし単に外国語ができるということではなく、自分とは異なる価値観を理解し、対話できる力を育てることこそが重要です。
また、大学の中でのコミュニケーションも非常に大切にしています。教職員同士、そして学生との関係性をどう築いていくか。それによって大学全体の雰囲気が変わってきます。
私は学長として、できるだけ学生と直接話す機会を持ちたいと思っています。「学生全員が学長と一度は話したことがある」と学生全員が言えるような大学にしたいのです。
やはり教育の原点は、人と人との関係にあると感じています。
一番大切にしたいのは、学生一人ひとりが自分の価値に気づき、「自分はこれでいい」と思える状態で社会に出ていくことです。本学は、そうした「人としての力」を育てる大学であり続けたいと考えています。知識だけでなく、人間としての土台をしっかり築く場所でありたいですね。
また、授業だけではなく、サークル、アルバイト、地域活動などの経験を重ねるなかで自分の良さを見つけて、それを認める力を育てて欲しいと思っています。
跡見花蹊没後100年シンポジウム開催
2026年5月24日(日)13:00〜15:30
詳細は大学公式HPへ
(後編は次号105号に掲載予定です。)

学生自身が主体的に学ぶ授業

明治28年当時、跡見花蹊と寄宿生写真

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