まちの人 alt

2026.07.18

跡見学園女子大学 学長 森 まり子さん

105号:会いたい!湯島本郷まちの人

2029年4月の文京キャンパスへの一元化を見据えて改革を始動させた、跡見学園女子大学。1965年の開学以来、初の女性学長に就任した森学長にインタビュー。

森鷗外の系譜を継ぐ学長が描く未来。
森学長のあゆみと教育への想い(後編)

経歴について教えてください。

幼い頃は本学のある茗荷谷で過ごしました。文京区にゆかりのある森鷗外は高祖父にあたります。鷗外の最初の妻(私の高祖母)赤松登志子は跡見学園の創立者の教えを受けています。医者の多い環境でしたが、漢籍や古典に通じていた父の影響もあり、小中高の12年間を女子校で過ごした少女時代は古典や歴史に関心を持っていました。中国文学を志して東京大学に進学したのですが、入学した途端「世界観がひっくり返る」授業に出会い、ナショナリズムや国際関係史の研究に惹かれていきました。文学は今でも好きなのですが、のめり込んでしまうので趣味にする事にしました。教養学部教養学科アジア科に進み、ヘブライ語やアラビア語を使う中東研究の道へと踏み出したのです。
外交官と研究者とで迷いましたが、研究に惹かれ東大の大学院に進みました。在学中に英国の奨学金でオックスフォード大学大学院に留学しました。

海外での経験はどのような影響を与えましたか?

英国ではガーデンパーティーでカレッジ長ご夫妻が私の専門に興味を持って話しかけて下さるなど、一介の学生が研究者と対等に話ができる環境に感動しました。衝撃的だったのは、BBCの討論番組で一市民が政治家と対等に討論する政治文化でした。「深く根付いた民主主義」に強い感銘を受けましたが、その経験は今でも私の人生観に大きな影響を与えています。
博士号を取得後、ハーバード大学中東研究所で研究生活を送りましたが、子供の学校を通じて様々な人種的・経済的背景を持つ一般市民とも話す経験をし、多様な価値観にふれました。この米国での経験が、多様性を重視する私の教育観の基盤になっています。

ボストン時代に長男とズコット作り

大好きな手作りのレアチーズケーキ

学生たちと身近に接する

帰国後のキャリアについて教えてください。

東京大学で特任准教授として、欧米と中東を横断する研究を確立しようとしました。その後、専任教員として跡見学園女子大学に着任し、パレスチナ問題等が紛糾するとメディアでも話す様になりました。
学問の真の面白さに気付いたのは実はこの頃なのです。なかなか入手できなかった17〜19世紀の史料がアマゾンの発達によって世界中から手に入るようになり、研究の可能性が格段に広がりました。今の私の研究テーマの一つである中東と米国の民主主義をめぐる関係の研究にも大きな可能性が開けたのです。

どんな学長でありたいと考えていますか?

研究の可能性が広がったところで学長になり、研究できなくなりました(笑)。
本学では図書館長や文学部長を経て学長になりましたが、大切にしたいのは学内交流から生まれる全人教育です。留学中に感じたのは、教育は人との関わりの中でこそ真に深まるという事でした。ですから「学生ファースト推進チーム」を立ち上げ、学生と教員の交流スペースの拡大に取り組んでいます。学生が学長と読書について話せる「読書の森」というプロジェクトも構想中です。
私は、教育はエリートのみならず全ての人に開かれたものであるべきだと考えています。リーダーという言葉は日本では上に立つ人のイメージがありますが、米国ではそうではない。「私が先頭に立ちたい」と手を挙げれば、先頭に立つ人(リーダー)になれる。この考え方は衝撃的でした。「誰でも意志さえあればリーダーになれる」。この理念を本学の教育に取り入れようと考えています。

跡見学園女子大学 文京キャンパス
03-3941-7420
112-8687 東京都文京区大塚1-5-2
https://www.atomi.ac.jp/univ/
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